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開業地の選定

開業地の選定が成功を左右する

「開業が成功するかどうかは、開業地の選定にかかっている」と言っても過言ではない。それ程重要な要因であるため、十分検討したうえで、自信と確信を持って開業地を選定したい。開業地と適しているためには、次のような立地条件を満たしていなければなりません。

開業に必要な立地条件

  1. 人が多くいる、集まる地域。
  2. 人が行きやすく、わかりやすい場所。
  3. 競合医療機関が少ない場所。
  4. 将来性や活気のある地域

具体的に特定の場所を決めるには、開業資金として調達できる金額からみて、また、診療方針からみて必要とされるスペースや環境が確保できる物件であるかを検討しなければなりません。したがって、理想とする開業地を見出すことは極めて困難とされるが、理想にできるだけ近い開業地を見出すため、時間と労力を惜しんではいけません。

立地の特徴と留意点

駅前立地

開業する場所として最もポピュラーな立地。駅の1日の平均乗降客数、また、乗り換えのための通過駅でなく周辺の住民がよく利用する駅であるのか、駅の改札口の数、各改札口の集中度合い、駐輪場の場所と広さ、駅につなぐメイン道路、駅のプラットホームから診療所や看板が見えるか等を調査し、優れていれば開業地として適している。ただし、駅前にはすでに競合医療機関があることが多く、また、将来、参入する医療機関もあるので、特徴のある魅力ある診療所をつくりあげなければならない。

商業施設周辺

スーパーなどの商業施設のある周辺も開業地として有力。1日の平均来客数の大きさ、平日、土日、祭日の来客数の変化を調べると同時に、出入り口の場所や数、駐車場の位置や出入り口などから、どのような人の流れになっているかを調べ、開業地として適しているか判断する。開業地として有望であると、駅前立地と同様、将来、新規に参入する診療所もあることに留意しなければならない。

商業施設内

ス−パーなどの商業施設内に医療スペースを造り、集客力をアップしようと企画する商業施設が増えている。医療スペースに複数の診療科目を構えるので、患者さんにとっても便利であるため、駐車場が広いとかなり診療圏も広がり、集客力の高い診療所として評価される。駅前等の立地と違い将来、参入する競合相手がいないため、集客力が高い商業施設であれば、収益力も高く、安定した経営を展開することができる。ただし、家賃や管理費はそれなりに高いので、開業資金の調達がポイント。

住宅地

診療圏は広くても半径500メートル以内になるため、駅やバス停に向かう人の流れにあう立地であるかがポイント。また、昼間人口が1診療所当たり 5,000 人を確保でき、競合医療機関も少ないことが不可欠。

メディカル・モール

医療ビルの中に複数の診療所が集まる形態で開業するスタイル。全体の運営を支援する管理会社が介在するものや、各診療所が比較的自由に運営する形態もある。メリットは、複数の診療所が集まることによる集患面での相乗効果といえる。また、診診連携の促進という面からも大きな期待ができる。ただし、メディカル・モール自体の立地条件が悪い場合や、他の診療所の評判が悪いと患者さんが遠く危険性がある。他の診療所と関係を良好に保つことが大切。

立地調査は自分で

不動産事業者や開業コンサルタントから物件を紹介され、その物件に興味を持った場合、紹介者と同伴せず、自分一人で現地に行き自分の目で立地調査すること。年齢層別人の数や流れを知るためには、平日、土・日、祭日、午前、午後、夕方など曜日や時間帯を違えて現地を見なければならない。2次診療圏(半径 1.5 q)までの地域住民が主な対象となるので、その範囲における人口密度、年齢分布、所得分布等を調べること。また、診療圏における競合相手となりそうな医療機関を調べ、付近の住民から評判を直接聞き出すことも不可欠とされる。競合医療機関については、院長の年齢、出身学校、医局、得意分野、設備状況、1日当たりの患者数などがチェックポイントとなる。競合医療機関と比べ、自院がより魅力ある診療を展開できるかがポイントとなる。

物件の絞り込みと決定

立地場所がある程度きまり、その診療圏で展開すべき診療方針もほぼ決まれば、物件の絞り込みとなる。物件の間取りがよいか、窓の方向性がよいか、電気の容量、給排水設備、天井の高さ、看板の設置場所などを確認する。判断がつかないときは、設計士や内装業者等の専門家に確認してもらうこと。そして、最後に先輩の開業医や開業コンサルタントに最終判断を仰ぎ、開業地を決めるといった手順を踏むとよい。

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