ここ数年、毎年、全国で約5000件の診療所が増加していると言われています。 四半世紀にわたり医療機関の経営コンサルティングを行ってきた経験から、開業すれば どんな医師でもそれなりに成功するといった時代は終焉し、後10年もすれば歯科医院と 同様、医科診療所も過当競争時代に突入し、開業しても半分以上は経営的に厳しい 状況に追い込まれるのでではないかと危惧しています。したがって、開業を考えられて いる先生は来るべき時代を見据え、それなりの気構えをもって新規開業の準備をしな ければなりません。 開業の動機は「自らが目指す診療を実現したい」「このままでは、将来が不安」「病院 人事に対する不満」などさまざまであります。しかし、開業医になるということは 経営者になることであり、それなりの覚悟と準備をしておかなければなりません。 診療だけやっていればよかった勤務医とは違い、労務管理、財務管理など今まで経験 したことのない未知の世界とも取り組まなければなりません。 開業医として独立しようと思い立って相談に来る 先生方の心配事ベスト3は、次の3つです。 1.患者が順調に集まってくれるのか 2.担保はないけれど、果たして融資してくれるのか 3.スタッフは、自分のいうことをしっかり聞いてくれるのか 日経 ヘルスケアのアンケート(417件)の 「開業後に失敗したと感じた項目ベスト5」は次の通りです。 1.スタッフの採用(215件) 2.建築、設計、設備(210件) 3.医療機器の購入(110件) 4.診療時間、休診日の設定(91件) 5.開業準備期間の不足(90件) したがって、開業に踏み切るまでの間に、少しでも心配事が少なくなるよう準備をおろそかしてはなりません。