「開業が成功するかどうかは、開業地の選定にかかっている」と言っても過言ではあり ません。それ程重要な要因であるため、十分検討したうえで、自信と確信を持って 開業地を選定したいものです。開業地として適しているためには、 次のような立地条件を満たしていなければなりません。 ●開業に必要な立地条件 1.人が多く、集まる地域 2.人が行きやすく、わかりやすい場所 3.競合医療機関が少ない場所 4.将来性や活気のある地域 具体的に特定の場所を決めるには、開業資金として調達できる金額からみて、また診療 方針からみて必要とされるスペースや環境が確保できる物件であるかを検討しなければ なりません。したがって、理想とする開業地を見出すことは大変難しいといえます。 理想にできるだけ近い開業地を見出すため、時間と労力を惜しんではいけません。 ●駅前立地 ●商業施設周辺 ●商業施設内 ●住宅地 ●メディカル・モール 不動産事業者や開業コンサルタントから物件を紹介され、その物件に興味を持った 場合、後日紹介者を同伴せず、自分一人で現地に行き自分の目で立地調査することが 大切です。年齢層別人の数や流れを知るためには、平日、土・日、祭日、午前、午後、 夕方など曜日や時間帯をかえて現地を見なければなりません。2次診療圏(半径 1.5 q) までの地域住民が対象となり得るので、その範囲における人口密度、年齢分布、所得 分布等を調べることも必要です。また、診療圏における競合相手となりそうな医療機関 を調べ、付近の住民から評判を直接聞き出すことも不可欠とされます。競合医療機関に ついては、院長の年齢、出身学校、医局、得意分野、設備状況、1日当たりの患者数な どがチェックポイントです。競合医療機関と比べ、いかに自院がより魅力ある診療を 展開できるかが重要なポイントとなります。 立地場所がある程度決まり、その診療圏で展開すべき診療方針もほぼ決まれば物件の 絞り込みとなります。物件の間取りがよいか、窓の方向性がよいか、電気の容量、給排 水設備、天井の高さ、看板の設置場所などを確認します。判断がつかないときは、設計 士や内装業者等の専門家に確認してもらうことが必要です。そして、最後に先輩の開業 医や開業コンサルタントに意見を仰ぎ、開業地を決めるといった手順を踏むとよいで しょう。