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開業に対する心得、資金調達の目途、開業地の選定などがほぼ決まれば、事業計画を
策定します。事業計画の目的は、開業が成功するのか、危険に満ちているのか、どう
いう経営状態になれば資金繰りに困らずにやっていけるようになるのかなどを資金面
から数値的に検討することにあります。先生が目指す診療方針、開業候補地の立地
条件、調達可能な資金の額などから、設備投資計画は適正か、運転資金は不足しない
か、資金繰りがうまく回るかどうかなどを検討し、先生自身が自信と確信を持って開業に
踏み出せる開業コンセプトを確立します。
新規開業は実績がないので、開業当初、患者数がどのように伸びていくのかなかなか
予想しにくく、また診療単価も当初どのくらいになるか的確に推定できないため、前提
条件をいろいろ想定し、シミュレーションをし、資金繰り状態がどうなるのかをチェックする
ことが大切です。開業後1年間は毎月の、2年目からは少なくとも四半期毎の資金繰り
を予測します。
収入は、「1日当たりの患者数×1診療当たりの単価×診療日数」をベースに計算します。
1日当たりの患者数は診療圏調査結果をベースに、強気、通常、弱気などのケース別に
予測するようにします。1診療当たりの単価は厚生労働省が公表している社会医療診療
行為別調査や先輩開業医、開業コンサルタントからの情報などを参考にして決めます。
1. 人件費
目指す診療コンセプトや予想患者数によって職種別・正職員・パート職員の人数を決め
ます。個々の給与額や時給額は、新聞チラシや求人誌等を参考に決めるとよいでしょう。
開業後3ヶ月以内に当初のスタッフが入れ替わることが多く、それに伴うコスト増加も
考慮しておくことも必要です。
2. 薬品材料費
診療科目や院外処方にするかどうかで大きく変わります。診療収入に対する比率を用いて金額を予測します。
3. 家賃、リース料、支払利息
設備投資計画から予想される家賃やリース料を見積もります。また、借入金条件から毎月の支払利息を算出します。
毎月のリース料 は 「リース物件価額×1.15÷リース期間(通常60ヶ月)」で算出、目安を立てます。
4. その他経費
水道光熱費、消耗品費、通信費、衛生費、広告宣伝費、医師会費などの経費は、開業規模によって違ってきますが、
おおむね月額30〜50万円を目安に予想すればよいでしょう。駅看板や電話帳など積極的な広告宣伝を行う予定であればその分も加算します。
損益状況が把握できたら、資金繰りがどのようになるか資金繰り表を作成します。
用意した運転資金でまかなえるのか、生活費を大幅に切りつめなくてはならなく
なるのかなどが、予想資金繰り表からわかります。資金繰りがきわめて厳しくなる
ことが予想される場合は、自己資金をもっと増やす、設備投資を削減する、
若しくは、開業自体を延期するすることも含めて検討しなければなりません。
開業資金繰り予想/患者数:やや控えめのケース
*診療日数22日、単価5千円とする。(単位:千円) |
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20年4月 |
20年5月 |
20年6月 |
20年7月 |
20年8月 |
20年9月 |
20年10月 |
患者数 |
18 |
24 |
30 |
35 |
38 |
40 |
45 |
収入 |
1,980 |
2,640 |
3,300 |
3,850 |
4,180 |
4,400 |
4,950 |
材料費(12%) |
238 |
317 |
396 |
462 |
502 |
528 |
594 |
人件費 |
1,000 |
1,200 |
1,500 |
1,200 |
1,300 |
1,300 |
1,400 |
家賃 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
経費 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
リース料 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
支払利息 |
58 |
58 |
58 |
57 |
56 |
55 |
55 |
費用計 |
2,496 |
2,775 |
3,154 |
2,919 |
3,058 |
3,083 |
3,249 |
償却前利益 |
-516 |
-135 |
146 |
931 |
1,122 |
1,317 |
1,701 |
レセプト請求 |
-1,386 |
-1,848 |
-2,310 |
-2,695 |
-2,926 |
-3,080 |
-3,465 |
レセプト請求の入金 |
0 |
0 |
1,386 |
1,848 |
2,310 |
2,695 |
2,926 |
借入金返済 |
0 |
0 |
0 |
300 |
300 |
300 |
300 |
差引 |
-1,902 |
-1,983 |
-778 |
-216 |
206 |
632 |
862 |
生活費 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
余剰金 |
-2,502 |
-2,583 |
-1,378 |
-816 |
-394 |
32 |
262 |
余剰金累計 |
-2,502 |
-5,084 |
-6,462 |
-7,278 |
-7,672 |
-7,640 |
-7,378 |
*診療収入の7割が2ヶ月後に入金とすると、運転資金 8,000千円位が必要
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